バトスピの世界観

契約編:界の世界観

第4章 エピソード2:プチスターク

ザ・ジャッジメントによる審判が続く中、審判獣の大侵攻が始まった。その先頭にいるのは、「審判獣を統べる者ジウ=ストラ」。ザ・ジャッジメントの大幹部にして、すべての審判獣の頂点に立つスピリットだ。

審判獣を統べる者ジウ=ストラ
「まもなく最後の審判が下される! 審判獣よ、レクリスを浄化するのだッ!」

ジウ=ストラの号令により、これまで見た事もない程の無数の審判獣が現れ、レクリスの空を埋め尽くした。

――ウィングラスPMC・本部。

プチスターク
「シット。ついにこの時が来てしまいましたか。修理が完全に終わるのを待っていられません。動ければ構いません、行かせてください! ミス・ヴァルトルート!」
ガラスの翼のヴァルトルート
「貴方の修理と改修はまだ終っていません。おとなしく寝ていなさい」
プチスターク
「しかし、あの数は前代未聞です。1人でも多く戦力がいるはず」
ガラスの翼のヴァルトルート
「今の貴方が行ってどうなります? それに、我が社の社員たちを舐めないで欲しいですね」
プチスターク
「う……それは」
ガラスの翼のヴァルトルート
「現在、社員総出で事に当たっています。連携の取れない貴方が行っても、何の役にも立ちません。状況が分かったのなら、大人しく最後のパーツの完成をお待ちなさい」
プチスターク
「……そうはいっても、こんな状況です。ダンが黙って見ているわけが無い。ワタシが行かなければ……」
ガラスの翼のヴァルトルート
「……この情報は伏せていましたが、審判の日、ダンはザ・ジャッジメントを撤退させましたが、その代わり、囚われの身となりました」
プチスターク
「ホワット!? なぜそんな重要な情報を教えてくれなかったのですか!」
ガラスの翼のヴァルトルート
「そういう反応をするからですっ! それに、ダンの救出に動いている人物もいます」
プチスターク
「それは、ワタシの仲間たちですか?」
ガラスの翼のヴァルトルート
「トアという者です。ダンをこのレクリスに召喚した当人であり、契約の巫女とも呼ばれています。貴方の仲間の何人かは、今は彼女と行動を共にしています」
プチスターク
「そんな事になっていたとは……ならば、なおさら、行かねばなりませんっ」
ガラスの翼のヴァルトルート
「はぁ……だから教えたくなかったのですよ」
プチスターク
「こんな情報を聞かされて、ワタシがじっとしていられるとでも?」
ガラスの翼のヴァルトルート
「……大変申し訳ないのですが、私に手抜かりはありません」

そう言うとヴァルトルートは手に持ったタブレットを操作する。

プチスターク
「――ッ! いったい、何を……」
ガラスの翼のヴァルトルート
「こんなもの使いたくはありませんでしたが……今の貴方では、99%あの審判獣の群れには勝てない。もう少しだけ待っていてください。我々が貴方を完全に、いえ、前以上に直してみせますから」

――その夜。誰もいなくなったラボ。強制停止させられたプチスタークの目に光が宿る。

プチスターク
「…… ………… …………再起動完了」
「ソーリー、ミス・ヴァルトルート。強制停止コードのことは気付いていました。一芝居打たなければ、アナタは行かせてはくれないでしょうからね」

プチスタークは人気の無くなったウィングラスの社内を静かに駆ける。目指すは暁光の契約銃セレストゥルの保管室。

プチスターク
「今のワタシがどれだけ役に立つのか分かりませんが、行かなければ何も始まらない」

セレストゥルを手に入れ、元の姿に戻ったスタークは、作戦指令室の出入り口を横切る。中では、ヴァルトルートが声を張り上げて作戦の指揮を取っているのが見えた。

スターク&セレストゥル
「スクラップ寸前のワタシを拾ってくれたこと、ワタシの半身であるセレストゥルを見つけてくれたこと、その御恩は忘れません。また会えたらその時には必ず感謝を伝えます」

スタークは意を決してビルの裏手に向かう。

スターク&セレストゥル
「ウィングラスの皆さん、ミス・ヴァルトルート、お世話になりました!」

ひとり戦場に向かうスターク。その眼には決意の光が宿っていた。

数時間後、スタークの情報を得たトアたちが、ウィングラスPMC・本部にやって来ていた。しかし、スタークは一足先に審判獣を迎え撃ちに出撃してしまったらしいことを知る。

契約の巫女トア
「じゃあ、もうスタークはいないんですか?」
ガラスの翼のヴァルトルート
「はぁ……完全に私の失態です。余計な情報を与えた上、強制停止コードまで使ったのに、出し抜かれるなんて」
プチシャック
「はっはーッ! あの審判獣の群れを見て、居ても立ってもいられなかったんだな。アイツは一見クレバーだが、根は熱血だからな」
ガラスの翼のヴァルトルート
「ええ、そうですね。私の見積もりが甘かったのです。しかし、ここで嘆いていても始まりません。今、貴方たちが来てくれたことは嬉しい誤算です。契約の巫女トア、貴方に頼みたいことがあります」

そういうとヴァルトルートは、コバルトに輝く小さな装置を取り出した。

契約の巫女トア
「わぁ、綺麗な機械。これは?」
造相棒レーヴ
「希少ナ金属デ造ラレテイル コレハ良イモノダ」
ガラスの翼のヴァルトルート
「これはエクストリーム・モジュール。スタークをパワーアップさせるための最後のパーツです」
プチグロウ
「あいつパワーアップするのか、うらやましいぜ」
ガラスの翼のヴァルトルート
「このパーツさえ組み込めば、スタークは大空を自由に飛べる翼を手に入れられます。そうすれば、あの空の審判獣デッドバーズにだって負けることは無いでしょう」
鷲相棒ガット
「空中戦ができるようになるパーツか☆ ミーとどっちが速く飛べるか。是非とも勝負したいところだナ」
プチバット
「スタークは、空を飛ぶことに憧れていたであります。その夢、自分たちが叶えましょう!」
契約の巫女トア
「うん。任せて、あたしたちが必ず届けるよ!」
ガラスの翼のヴァルトルート
「ありがとうございます。それと、報酬代わりといってはなんですが、私からレジェンドスピリットの情報をお伝えしましょう」
冥相棒カミュ
「……さすが、軍事を扱う会社なだけはある……戦いは情報が命」
ガラスの翼のヴァルトルート
「奇しくもスタークが向かった永久氷壁の山脈に、マンモスのレジェンドスピリットが眠っているとのことです。我々の情報によると、最硬の防御力を誇るのだとか。目覚めさせれば必ず力になってくれることでしょう」
契約の巫女トア
「分かった。スタークもレジェンドスピリットもあたしたちがまとめて救ってくるよ!」

ウィングラスPMC・本部から北に位置する永久氷壁の山脈。そこには空の審判獣と戦うスタークの姿があった。

スターク&セレストゥル
「ガッデム。いくら撃ち墜としてもきりがありません……それに、空からの連携攻撃。あのひと際大きい審判獣が指揮しているようですね。あそこまで攻撃が届けば……」

統率の取れた攻撃を前に防戦一方のスタークは、次第に巨大な氷塊の元に追い詰められていく。

スターク&セレストゥル
「もう、あとがありませんね。少しは役にたったでしょうか。ダン、最後にもう一度逢いたかった……」

空から巨大な鳥の審判獣の爪が、スターク目掛けて振り下ろされる。その時、閃光の如き速さで投げられた紫の騎槍が審判獣の右目に突き刺さった。

スターク&セレストゥル
「こ、この槍はっ!?」
騎槍皇キャリバーレ・バット
「こんな簡単に諦めるとは、まだどこか故障しているでありますか?」
スターク&セレストゥル
「その姿……バットなのですか?」
灼熱剣皇ソード・グロウ
「へっ、バットだけじゃねえぜ!」
神海賊皇トライ・シャック
「はっはーッ! 俺様もいるぞッ!」
雷牙王ブリッツ・ランポ
「へへ、これで5人だね」
契約の巫女トア
「あんたがスタークね、最後のパーツ届けに来たよ! これで、あのマンモスレジェンドスピリットを目覚めさせてきて!」
スターク&セレストゥル
「レジェンドスピリット? あ、アナタは?」
契約の巫女トア
「あんたの後ろのでっかい氷の塊っ! あれがレジェンドスピリット! んで、あたしは契約の巫女トア! ヴァルトルートさんからあんたを助けてって頼まれてきたの!」
スターク&セレストゥル
「ミス・ヴァルトルートから……こんなワタシに、まだ……」
契約の巫女トア
「審判獣が邪魔で近づけないーーーーー! スタークーーーーーッ! 受け取ってーーーーーーーーっ!」
スターク&セレストゥル
「え? う、うわあああっ」

スタークに向かってエクストリーム・モジュールを投げるトア。コバルトに煌く光がスタークの手のひらに収まる。

スターク&セレストゥル
「デ、デンジャラス! もっと丁寧に扱ってください! 大切なものなんですから!」
「しかし、ついに完成したのですね、エクストリーム・モジュール。ミス・ヴァルトルート、使わせて頂きます!」

スタークはエクストリーム・モジュールを自らのボディーに組み込むと、全身が青い光に包まれ、航空機の翼を持った大きなロボットの姿に変わっていく。

天空機動エクストリーム・スターク
「これが、私の新たな姿……翼がある! 体が軽い! これなら、どこまでも飛べそうです!」

――ウィングラスPMCの屋上。

ガラスの翼のヴァルトルート
「貴方の改修は終わりました。我らが与えた新たな翼、使いこなしてみなさい」

永久氷壁の山脈、上空。高速で空を飛ぶエクストリーム・スタークは、次々に審判獣を撃ち墜としていく。

天空機動エクストリーム・スターク
「あの分厚い氷、今のワタシとセレストゥルなら破壊できます! レジェンドスピリットよ甦れ!」

エクストリーム・スタークの放ったビームが巨大な氷塊を破壊する。その中から、巨大なマンモスのレジェンドスピリット「凍獣マン・モール」が姿を現す。

マン・モールは甲高い声でひと鳴きすると、鼻を振り回し、周りの審判獣を一掃する。

契約の巫女トア
「おおー! スッゴイパワー。鼻先のトゲトゲ攻撃力高そうだけど、最硬の防御力を持ってるんだよね? あの子って」
零相棒ウィズ
「さっき鳴いたときに、スタークにバリアが張られたように見えた。スタークは全く被弾していないのが、その証拠だ」
契約の巫女トア
「そっか。もう、スタークとあの子だけで、あのでっかい鳥の審判獣は大丈夫そうだね」
灼熱剣皇ソード・グロウ
「せっかく契約煌臨したのに、オレの出番はなしかぁ~」
騎槍皇キャリバーレ・バット
「自分たちは、他の審判獣を片付けるであります」

上空では、エクストリーム・スタークとデッドバーズの空中戦が繰り広げられていた。デッドバーズの翼から放たれる幾筋のビームを難なく躱し、エクストリーム・スタークは確実に攻撃を当てていく。十分に近づいたところで、キャリバーレ・バットの投げた槍で傷ついた右目に向けて最後の射撃が行われた。断末魔を上げその巨体が地に墜ちていく。司令塔を失った審判獣は統率を失い、地上のマン・モールに蹴散らされていった。

――ウィングラスPMC・本部。

ガラスの翼のヴァルトルート
「何か弁明はありますか? スターク」
プチスターク
「ソーリー。弁明のしようもありません……私はミス・ヴァルトルートの制止も聞かず、受けた恩を踏みにじり、自分勝手に出撃しました……」
ガラスの翼のヴァルトルート
「よく理解しているようですね。自分のしたことが、どれだけのことか……ですが、怒っているのはそれだけではありません。貴方が自分の命を軽んじたことが私には許せません」
「一時の感情に身を任せ、命を投げ打つなど、言語道断。生きていればいつか勝利を手にすることもできるでしょう。死んでしまってはお金も稼げません!」
プチスターク
「はい……それはもう……おっしゃる通りです……レクリスを救った後は、御社で無償で働かせて頂きますので……」
契約の巫女トア
「スターク、そうとう凹んでるね」
プチランポ
「スタークがあんなになるなんて、ぼく、はじめてみたよ~」
プチシャック
「アイツにはいいお灸だろう。こってり絞られるがいい。はっはっはーッ!」
幻相棒パルム
「ガラスのお姉さんに叱られるなんて……なんてうらやましい……」
花相棒フラウ
「トア~、パルムがなんかキモい~」
契約の巫女トア
「あははは……スタークには反省してもらうとして、審判獣の群れは倒せたし、レジェンドスピリットも手に入れられた。もう時間は無いけど、ダンを助けるまで、もうひと踏ん張りだね。みんな、頑張ろう!」
一同
「おーー!」

プチスタークを仲間にし、「凍獣マン・モール」を手に入れたトア。レジェンドスピリットはあと2体。果たして最後の審判までにダンを救出し、レクリスを救えるだろうか。トアの旅はいよいよ大詰めを迎える。

プチスターク